見てくださいこのニュース、すごいですよ。
えーとなになに、「南極でなくした財布53年ぶりに持ち主のもとへ戻る」とな。うん、こりゃすごいね。
ね、すごいですよね。
早速俺たちも南極へ財布を探しに行こう!
なんでそうなるんですか、過酷です、死んじゃいます。
まだまだ財布落ちているかもしれないだろ!
思考の方向がどうにもおかしいと思います。財布が落ちている確率なら、人がたくさんいる都市の方が高いですよ。
ごもっともでございます。いやーでも南極に落ちている財布ならなんか中身もすごそうだなー、いいなーいいなー。
何がいいのかよくわかりませんが、記事によると財布には、海軍の身分証、運転免許証、生物・化学兵器の攻撃を受けた際の対応を記したカード、そしてビールの配給カードが入っていたみたいです。
なんだか物騒だな……。
落とし主が海軍所属の気象学者だったそうですからね。20世紀に入ってから南極では領有権をめぐる争いもありますし、有事の際の対応が必要だったんでしょうね。
お前の方がビール多いじゃねえか!みたいな?
ビールの領有権じゃないです、領土の領有権です。ビールのために生物兵器で攻撃なんてされたらたまりませんよ。
いやわかんないよ、ビールの好みで戦争が起きてたかもしれない。俺はエールが好きなんだ!ラガーなんてクソくらえ!ラガー酵母をせん滅し、エール酵母を送り込め!みたいな。
まさかの酵母による生物兵器ですか。まあ酒蔵ならダメージを浴びそうですが、南極は超低温なのでそもそも酒を造っちゃいないですよね。
そう思います。
はい、素直でいいと思います。
しっかし53年も前の財布がよく戻ってきたね。
なんでも2014年に観測所を取り壊した際に出てきたらしく、そのときの調査隊員が軍関係者に連絡して、そこからいろいろな人を伝ってようやく先月末に本人の元に届いたそうです。
その間にビールの配給カードが一枚ずつ減ってたりして。
投機家さんじゃないんですから誰もそんなことしませんよ、だいたい1967年の軍の配給カードなんてどうやって使うんですか。
じょ、冗談に決まってるだろ……。そうだよな、使えないよな。
なんでそこで落ち込むんですか。
いやなんかやっぱ夢があるじゃん、落とし物とはいえさ、何か宝探し的なサムシングがあるじゃん。
まあ確かに53年も前のものともなると、所有権ももうないでしょうし、そこに大金が入っていたりしたら道徳は別として、大儲けできたかもしれないですね。
それだよそれ、徳川埋蔵金とは言わないまでもさ、小さな夢があるんだよ。
落とした当時はまだドルが360円の時代ですからね、100ドル入っていたら36,000円ですね。今なら約10,500円ですが。
小さな夢をもっと小さくするようなことを言うなよ。
これはこれは、失礼しました。
だいたい宝探しはお金じゃないんだよ、夢を探すんだよ。
さっきまでのがめつい態度はどこにいったんですか。
91歳の老人が、昔なくした財布を届けてもらい、若かりし頃の記憶に思いを馳せる。素敵なことじゃないか。
そう考えると確かにいいお話ではありますね。
自己の利益を追求するのも大事だけど、人々の生活にプライスレスな体験を提供することを、生業としていけたら最高だとは思わないかい?
投機家さんらしからぬ発言ですが、そう思います。
そうだろう、だから俺らは南極を目指すしかないんだ!
けっきょく南極大冒険ってわけですね。
オチをとらないで。
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